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広島大学大学院 小池教授がAgriFood SBIRピッチ・マッチング2025で「グッドビジネス構想プレゼン賞」を受賞!!

生物系特定産業技術研究支援センター等が主催するイベント「AgriFood SBIR ピッチ・マッチング2025」において広島大学大学院 統合生命科学研究科の小池一彦教授が産学官連携で進める研究開発テーマのプレゼンを行い、登壇した45社の中から見事「グッドビジネス構想プレゼン賞」を受賞しました。

AgriFood SBIR
https://agrifoodsbir.jp/

自律型揚水装置による養殖カキの増産を目指す

小池教授の研究開発テーマは、自律型揚水装置によって養殖カキの増産を目指すものになります。
近年、カキの養殖場においては水質改善によってカキの餌となる植物プランクトンに必要なリンや窒素などの栄養が不足する状況となっていますが、小池教授は海底の泥や水にこれらの栄養分と植物プランクトンのタネが豊富に含まれていることに着目し、太陽光発電によってポンプを駆動して海底の泥と海水をくみ上げる揚水装置を地元の機械メーカーと共同で開発しました。

広島大学 小池教授(左)と小職

太陽光発電量に応じたポンプの駆動制御と、海水モニタリングを実現

ディー・クルー・テクノロジーズ(株)は2022年度よりこの研究開発テーマに係らせていただき、太陽光発電量に応じたポンプの駆動制御と、LPWA通信を活用した海水温度の常時モニタリング実現に尽力して参りました。
今回の受賞について、小池教授のご厚意で弊社ホームページへ掲載することとなりましたので、こちらでお知らせさせていただきます。


小池教授、受賞おめでとうございます & ありがとうございました!!

bookmark_borderAI×IoTでトイレ見守りシステムを作る(2)

トイレ見守りシステムの2回目です。今日は見守りを可能にする技術の変遷についてお話します。

前回の記事はこちら↓

技術革新がスマートトイレ見守りを可能にした理由とは?

この20年間で、モバイル産業、IoT、AI の急速な発展により、私たちの生活は大きく変わりました。そして、これらの技術の進歩は スマートトイレ監視システム の実現にも大きく貢献しています。

では、どのようにしてここまで進化してきたのでしょうか? その鍵の1つは モバイル産業がけん引した、センサー技術、マイコン(MCU)、そしてAIの進化 にあります。

モバイル産業が技術革新牽引したセンサーとは?

技術革新の大きな原動力となったのが、モバイル産業 です。スマートフォンの進化とともに、メーカーは より小型で低コスト、かつ省電力なセンサー の開発を進めてきました。その結果、以下の技術が大きく発展しました。

  • MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)センサー – MEMSセンサーは、小型化された加速度センサー、ジャイロセンサー、マイクなどの複雑なデバイスを含みます。これらのセンサーは、ミリメートル単位のサイズでありながら、高精度かつ高感度な測定機能を提供します。例えば、加速度センサーは、自動車の安全システム、スマートフォン、スマートウォッチなど、幅広い用途で利用されています。また、ジャイロセンサーは、デバイスの向きや角度を正確に測定できるため、ゲームコントローラーやドローンの操縦システムなどで重要な役割を果たしています。さらに、MEMS マイクは、音声認識や通信機器において高い性能を発揮します。
  • パッシブイメージセンサー – 従来のRGBカメラやサーマルカメラは、高価な機器に依存していましたが、技術の進歩によってコストが大幅に下がり、ますます多くの消費者が利用できるようになりました。この変化は、スマートフォンのカメラ機能の向上だけでなく、他の分野でも応用が広がっています。たとえば、パッシブイメージセンサーは、セキュリティシステム、医療用診断機器、さらには農業における作物モニタリングなど、多岐にわたる応用が見込まれています。これにより、ユーザーは手軽に高品質なイメージデータを取得できるようになり、情報の可視化や的確な判断を行うための手助けとなっています。
  • レーダー、LiDAR、TOFセンサー – レーダー、LiDAR(Light Detection and Ranging)、そしてTOF(Time of Flight)センサーは、もともとモバイルデバイスや自動車向けに開発された高度なセンサー技術です。特に人の存在を検知する用途において、そのプライバシーを守る機能が注目されています。レーダーは、非接触で対象物の移動を捉えることができ、交通管理や安全装置として広く使われています。また、LiDARは、レーザーを用いて周囲の詳細な3Dマップを生成することができ、これにより自動運転車両の進化に貢献しています。TOFセンサーは、光の飛行時間を測定することで、距離や深さを高精度で計測できるため、拡張現実(AR)やバーチャルリアリティ(VR)といった分野でも重要な役割を果たしています。

このように、携帯電話業界が推進した省電力化、低コスト化、センサーサイズの小型化の3つは、ドローン、XR、VR、ウェアラブルなどの他のビジネスの起爆促進剤となりました。

MCU(マイコン)と組み込みAIの進化

センサーが進化する一方で、それを処理する マイコン(MCU: Microcontroller Unit) も急速に進歩しました。これにより、スマートトイレ見守りシステムのようなエッジAIデバイスの開発が可能になりました。このシステムは、使用者の健康状態や行動をリアルタイムで監視し、データを解析することで、予防医療や健康管理に寄与します。従来のクラウドベースのシステムに依存せず、デバイス自体で直接データ処理を行うことができるため、迅速なフィードバックとプライバシーの保護が実現されます。

  • 省電力で高性能な32ビットMCU が、センサーや画像データをリアルタイム処理 できるようになりました。
  • 一部の企業では MCUとセンサーを一体化 し、さらなる小型化と効率化を実現しました。ハードウェアの複雑さが軽減され、製造コストも削減されます。これにより、より多くの企業や開発者がエッジAI技術を活用しやすくなり、様々な産業での応用が広がります。
  • IoT向けのAI対応チップ の登場により、AIを活用したエンベデッドシステムの開発が容易になりました。データの収集、処理、分析を行うための計算能力を持ちながら、従来のMCUよりもさらに小型・低消費電力を実現します。

7〜8年前までは、32ビットMCUでAIを処理することはその処理能力に限界があり、実用的ではありませんでした。しかし現在ではこうした技術の進歩により、デバイス上でAIアクセラレータを内蔵したMCUがAIモデルを直接実行することが可能になっています。この進化により、リアルタイム分析が可能になり、従来のクラウド依存型のアプローチから脱却することができるようになり、より迅速な意思決定を可能とし、さまざまな業界での応用が期待されます。

AI対応MCUチップの構成イメージ

⓵シングルパッケージソリューション
②マルチパッケージソリューション

見守りシステムにおける、AI活用の可能性とは?

なぜスマートトイレ見守りにAIが必要なのか?

「そもそも、なぜトイレ見守りシステムにAIや機械学習が必要なのか?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。その答えは、センサーデータの処理が極めて複雑だから です。従来のアルゴリズムでは、転倒検知や動作検知を高精度に実現することが難しい のです。AIを活用することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 高精度な検知 – AIは、従来のアルゴリズムでは見逃しがちなパターンを認識できる。これにより、より正確に異常事態を検出することができ、利用者の安全を向上させます。
  • 適応性 – AIモデルは、学習を重ねることでより正確な検出が可能に。様々な環境や状況に応じた柔軟な対応が可能となります。
  • 自動的な特徴抽出 – ルールをいちいち手作業で作らなくても、AIを利用すればデータから自動的にパターンを学習し、精度の高い判断が可能となります。

ただし、AIは万能ではありません。最も重要なのは 「正しいデータを用意すること」 です。データの質が悪ければ、AIモデルの学習精度も低下します。そうならないような学習データの収集と管理が成功の鍵を握ります。

スマートトイレ見守りの未来

センサー、MCU、AIの進化 により、プライバシーに配慮したスマートトイレ監視システムが実現可能になりました。今後、さらなる技術革新により、以下のような進展が期待されます。

  • よりコンパクトで低コストなソリューションの登場
  • より高精度なAIモデルによる検知の向上 IoTやクラウドとの統合によるさらなる利便性向上

次回は、スマートトイレ見守りの実験の様子や、実験に使用したTOFセンサーについて解説します。

bookmark_borderハードウェアアクセラレーションの徹底比較

システムインテグレーター(SIer)やソリューション企業にとって、クライアントからの要望は多岐にわたります。最近の技術トレンドであるAIやIoTの普及に伴い、データを活用して業務価値を最大化し、新たなビジネスモデルを構築したいというニーズが急増しています。しかしながら、データ処理の遅さや秘匿性の確保といった課題は、クライアントの生産性向上のボトルネックとなっています。こうしたニーズに対して、SIerやソリューション企業の提案として有効な「ハードウェアアクセラレーション」についてご紹介します。

どんな種類のハードウェアアクセラレーションがあるのか?

クライアントが速度に関して課題を挙げるとき、高速処理のためのハードウェア導入(ハードウェアアクセラレーション)が有効な場合があります。

ここでは主なハードウェアアクセラレーションの手法について比較してみましょう。

1. CPU(Central Processing Unit)

CPUは一般的なプロセッサで、小数の高性能コアを持つため、シリアル処理に強みがあります。オフィスアプリケーションや軽量なウェブブラウジングなど、一般的な作業に利用されますが、並列処理には限界があります。

2. GPU(Graphics Processing Unit)

GPUは、多数のコアを持つため、大量のデータを並列処理するのに優れています。主にグラフィックスの生成や機械学習に利用されることが多く、処理速度を大幅に向上させられます。TensorFlowやPyTorchなどのライブラリからも活用され、大量データの高速処理を実現します。

3. FPGA(Field-Programmable Gate Array)

FPGAはプログラマブルなハードウェアで、特定の処理に特化した効率的な処理が可能です。特にリアルタイムデータ処理や医療イメージングに用いられ、高速かつ柔軟なソリューションを提供します。

4. ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)

ASICは特定のアプリケーション向けに設計された集積回路で、高速で効率的な処理が可能です。ただし、設計や初期投資に高コストが必要で、柔軟性に欠ける点もあります。

ハードウェアアクセラレーションの選択で何を重視すべきか?

これらのハードウェア技術はそれぞれ異なる強みを持っています。最適な選択とは、求められる性能、コスト、開発リソースによって異なるため、各シナリオに応じた評価が不可欠です。いずれの対策でも、投資には限りがあるため、コストパフォーマンスを考慮した導入が求められます。

1. CPU(Central Processing Unit)

アーキテクチャは 一般的なプロセッサであり、少数の高性能なコアを持つ。複雑なタスクを順次処理するのに優れている。シリアル処理に強いが、並列処理能力は限定的で 一般的なコンピュータアプリケーションや制御タスクに利用されます。例えばシングルスレッド性能が求められるため、高速なプロセッサが必要なWordやExcelなどのオフィスアプリケーションはCPUで動作します。また、ウェブブラウザはHTML、JavaScript、CSSなどの軽量な処理を行うため、CPUの能力が重要です。さらに、家電製品や自動車の制御に使われる 組み込みシステムやIoTデバイスな制御システムでは、一定の処理をシリアルに実行する必要があります。

2. GPU(Graphics Processing Unit)

CPUの通常処理では重すぎる演算や並列タスク処理を、GPU(Graphics Processing Unit)に肩代わりさせ、効率良く管理・実行する技術です。CPUと連携して、重要な処理や重い処理、またタスクの依存関係を考慮して、効率よく順序だててGPUへ割り当てる手法をGPUスケジューリングと呼びます。

GPUは多数のコアを持っており、同時に多くのスレッドを処理することができるため、大量のデータ処理や並行処理に向いています。用途としては、ゲームや映画のグラフィックスの生成に使用され、高速な3Dレンダリングを実現します。例えばNVIDIAのGeForceシリーズは、リアルタイムグラフィックスレンダリングに特化しています。また、大量のデータを並列処理する能力を活かして、機械学習・ディープラーニングにおいて、トレーニングプロセスを加速します。例えばTensorFlowやPyTorchなどのライブラリでは、GPUを活用することでモデルのトレーニング時間を大幅に短縮します。また膨大なデータセットを高速に処理して分析するため、HadoopやApache Sparkなどのフレームワークと組み合わせてビッグデータで利用されます。

2. FPGA(Field-Programmable Gate Array)

アーキテクチャ: プログラマブルなハードウェア、「FPGA」を用いて、特定の処理の重いタスクを効率的に処理する方法です。四則演算や命令分岐などGPUでは効率的に処理できない特定のアルゴリズムに対するパフォーマンスを最大化できます。

音声認識や画像処理、通信でデータをリアルタイムにデジタル信号処理するために使用されます。また、超音波診断装置やMRI装置など、高速かつ柔軟な処理が求められる医療イメージングに使用されます。また高速取引(HFT)では、取引アルゴリズムをFPGA上で実行することで、ミリ秒単位での取引が可能になります。このような特定の計算処理に非常に効果的ですが、設計にはある程度の時間とFPGAにおけるハードウェア・ソフトウェアの専門知識が必要です。しかしそうした専門家による工夫次第ではスパコンを凌駕する演算能力を発揮させることができることがFPGAの大きな特長です。

3. ASIC

ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)は、特定のアプリケーションや用途向けに設計された集積回路です。特定のタスクに最適化して設計されているため、一般的なプロセッサに比べて処理速度が非常に高速です。これにより、高度な演算やデータ処理が迅速でかつ省電力です。特定の機能に特化した設計のため、必要な回路だけを集約でき、チップのサイズを小さくすることができます。

一方ASICの開発には高額な設計費用と時間がかかり、小ロット生産に向かないので、少量生産や汎用性の低い用途には不向きです。またASICは一度設計すると変更が難しく新たな機能追加や改善ができないので、設計段階での柔軟な設計変更にも対応しづらいです。さらに設計から製造までには時間がかかるためスピードが求められる設計開発には不向きです。このようにASICは特定のアプリケーションに対して非常に優れた性能を発揮しますが、設計コストや柔軟性の面でのトレードオフに注意する必要があります。

ハードウェアアクセラレーションで最も重視すべきポイント

それぞれのハードウェアアクセラレーション技術は、特定の用途や要件に応じて強みが異なります。最適な選択は、求められる性能、コスト、開発リソースなどによって異なるため、具体的なニーズに応じて評価することが重要です。これらの用途を理解することで、プロジェクトや研究において最適なコンピューティングリソースを選択する際の指針となります。ただしいずれの手段でも、クライアントが重視するのは、秘匿性が担保されていること、高速化が実現できること、それでいてリーズナブルなコストであることは重要な選択ポイントとなります。

ディー・クルー・テクノロジーズのFPGAソリューション

弊社には極めて専門性の高いFPGA設計ができるエンジニアが在籍しております。演算処理の圧倒的な高速化を求める方に、2タイプのハードウェアアクセラレーションでデータ処理の未来を切り開くソリューションをご提供できます。クライアントが直面しているデータ処理の課題に対して、是非私たちの革新的なハードウェア及びファームウェアソリューションをお試しください。

1. 低コストでの導入

大規模な投資は不要。コスト効率の高いソリューションで、企業の利益を最大化します。

2. 高い秘匿性

データを社内で処理するため、セキュリティの確保が可能。機密性の高い情報を安心して扱えます。

3. 高速化の実現

大量かつ複雑なデータ処理において、従来の方法に比べて数倍から数十倍の処理速度を誇ります。

⓵ FPGA高速化ソリューション

FPGAで難解な科学計算を高速で解きたい。元々柔軟性やカスタマイズ性の高いこのハードウェアをベースにし、演算処理の実行は弊社開発の専用プログラムで表現した「ソフトウェアとハードウェアの融合」した方式です。このメリットは特定の計算タスクに特化したハードウェアプログラム構成により、GPUよりも高速な処理速度を実現。カスタマーに要求されるリアルタイムでのデータ処理が可能です。

② QALMOⓇ

最先端の疑似量子アニーリング技術を駆使し、FPGAで複雑なデータセットの最適化を実現します。従来のアルゴリズムでは対処しきれない問題に対して、効率的かつ迅速な解を提供します。