システムLSIのブレイクスルー技術③ 動的電圧スケーリング(DVS)とDVFSの違い

システムLSIのブレイクスルー技術③ 動的電圧スケーリング(DVS)とDVFSの違い

こんにちは。今日は、DVFSの元となった、動的電圧スケーリング(DVS)開発の背景をお伝えします。 動的電圧スケーリング(DVS)とは? 近年マーケットからLSIの低消費電力化が強く求められていく時代でありながら、従来SoCのSPECで規定されていた設計補償動作電圧では、本来欲しい動作電圧に比べて大きなマージンを含んだ電圧が必要となり、それが低消費電力化の障害となっていました。 そこでDVSが登場 […]

システムLSIのブレイクスルー技術② 動的電圧周波数スケーリング(DVFS)(2)

システムLSIのブレイクスルー技術② 動的電圧周波数スケーリング(DVFS)(2)

こんにちは。今日はDVFS機能搭載プロセッサとDVFSの動作原理についてお伝えします。 DVFS機能搭載プロセッサのブロック図 まず、DVFS機能搭載プロセッサについてです。図1に弊社が電源ICで用いているDVFS機能搭載プロセッサのブロック図を事例として示します。 CPU内にクロック周波数/電源テーブルが配置され、負荷の大きさに対応するクロック周波数及び電源電圧Vddの指示情報をテーブルから出力 […]

システムLSIのブレイクスルー技術① 動的電圧周波数スケーリング(DVFS)(1)

システムLSIのブレイクスルー技術① 動的電圧周波数スケーリング(DVFS)(1)

久々にシステムLSI記事を更新します。今回は動的電圧周波数スケーリング(DVFS)の概要についてお伝えします。 DVFSとは 動的電圧周波数スケーリング(Dynamic Voltage and Frequency Scaling, DVFS)は、プロセッサの処理量(負荷)の大小に応じて、電源電圧およびクロック周波数を動的(適応的)に切り替える技術です。これにより、必要な性能を維持しつつ、消費電力を […]

システムLSI(SoC) の直面するクライシス

システムLSI(SoC) の直面するクライシス

3つの技術クライシス システムLSI(SoC)に搭載するトランジスタの集積度を上げる(トランジスタを小さくし、たくさん並べる)ほどLSIの演算性能は上がるのですが、同時に「電力」「複雑さ」「配線」の3つの主要な技術的課題に直面します。各クライシスに対する原因、課題、対策について簡単にまとめました。 電力クライシス 電力クライシスとは消費電力と性能のバランスの問題です。システムLSIのトランジスタを […]

スケーリング則/ムーアの法則

スケーリング則/ムーアの法則

システムLSI(SoC: System on a Chip)は、約3年ごとに0.7倍のペースで微細化が進んでいます。この微細化のトレンドのことは、スケーリング則やムーアの法則、またはデナードの法則とも呼ばれています。 スケーリング則では0.7倍のスケールダウンにより単位面積あたりの集積密度が2倍になり、同一電圧で1.7倍高速化し、消費電力が半分になる性能向上が図られます。スケーリング則と素子構造お […]

システムLSIの低消費電力化技術(6)  

システムLSIの低消費電力化技術(6)  

昨今はチャージリサイクリングによる低消費電力化の研究が活発です。その1つを今日はお話します。 チャージリサイクリングでViを下げる 以前の記事で解説した数式を1つ思い出していただきたいのですが、CMOSLSIの消費電力の算出で、Pcは(1)「C・Vi・Ve・f」もしくは(2)「C・Ve2・f」で表されます、と申し上げました。このうちViを、「チャージリサイクリング」と呼ばれる低消費電力化を図る技術 […]

システムLSIの低消費電力化技術(5)

システムLSIの低消費電力化技術(5)

今日はアルゴリズムの工夫による低消費電力化についてです。 動画処理の世界では、動画をフレームで記録する際に、データ線の遷移確率を減らすデータ表現等が次々に発表されていきました。今日は私が以前映像録画機器で用いた事例として「符号付き絶対値表現」を用いた低消費電力化手法を紹介いたします。 ビデオ信号のフレーム差分データ処理 記録中の映像フレームで、絵の一部が動いたか、そうではないか、をLSIで検出処理 […]

システムLSIの低消費電力化技術(4)

システムLSIの低消費電力化技術(4)

今日は、アーキテクチャの工夫による低消費電力化の方法です。 アーキテクチャの工夫による低消費電力化の方法として、並列処理、パイプライン処理が従来よりある処理技術として有名です。 並列処理 そのうちの1つ、並列処理の概略図を(図14)に示します。例えば、ある演算器を2つ並列に配置します。この配置ですと演算機1つの場合と比較して、同一スループットに対して演算サイクルタイムを2倍に広げる事ができます。と […]

システムLSIの低消費電力化技術(3) 

システムLSIの低消費電力化技術(3) 

この記事では、システムLSIの低消費電力化技術の1つとして、一世を風靡した8ミリビデオ・カムコーダ用に開発したDRAM混載SoCについてお話します。 8ミリビデオカムコーダとは? 使ったご経験がある方おられると思いますが、個人がテープに録画記録するビデオカメラで、運動会で活躍するお子さんをこぞって撮影するお父さんたち、旅行先で動画撮影のために持ち歩く旅行スタイルなど、当時の生活の楽しみ方を根本から […]

システムLSIの低消費電力化技術(2)

システムLSIの低消費電力化技術(2)

こんにちは。今日はDRAM,SRAM, フラッシュメモリなどの低消費電力化についてお伝えします。 活性化領域の最小化技術とは? DRAM、SRAM、フラッシュメモリ等のメモリでは、ワード線およびビット線分割によるアレー分割によって、その空間的活性化領域を低減し、低消費電力化を図っています。携帯機器等に使用されるプロセッサでは、プロセッサを構成する各機能ブロックへのクロックの供給を必要に応じて断続的 […]