ΔΣ ADCの基礎と設計手法④ ― 制御理論から読み解く高精度A/D変換

ΔΣ ADC

本章では、前章で解説したΔΣ ADCのシステム設計工程(①〜④)を1章ずつ掘り下げて解説していきます。 前回の記事はこちら 第6章 仕様の決定 前章で示したように、ΔΣADCの設計は 「仕様 → OSR・次数 → NTF → モデリング」 の順で進めることが重要です。このうち最初のステップである「仕様の決定」は、後続の設計全体に影響するもっとも重要な工程です。ここで求められるのは、単なる「〜bit […]

ΔΣ ADCの基礎と設計手法③ ― 制御理論から読み解く高精度A/D変換

ΔΣ ADC

前章では、ΔΣADCの振る舞いが「フィードバック制御系」と同じ原理で動いていることを説明しました。 本章では、そのフィードバックループを構成する具体的なハードウェア要素について整理します。 第4章 ΔΣADCの構成要素 ΔΣADCは、「少ないアナログ回路で高精度を実現する」という特徴を持っています。構成要素は大きく 積分フィルタ(積分器)・コンパレータ・ディジタルフィルタ の3つです。これらがルー […]

ΔΣ ADCの基礎と設計手法 ②― 制御理論から読み解く高精度A/D変換

ΔΣ ADC

さて今日は、ΔΣ ADCの2回目です。ΔΣの理論の肝であるオーバーサンプリング、そしてノイズシェーピングのアプローチを、量子化ノイズとの関係を交えながら詳しく解説します。 前回1回目の記事はこちらです。 第2章 オーバーサンプリング ◆オーバーサンプリングとは オーバーサンプリングとは、信号の帯域幅よりもはるかに高い周波数でサンプリングすることです。通常のナイキスト系ADCでは、ナイキスト周波数を […]

ΔΣ ADCの基礎と設計手法 ①― 制御理論から読み解く高精度A/D変換

ΔΣ ADC

第1章 ΔΣ ADCとは ΔΣ(デルタシグマ)ADCは、少ない回路構成で高精度(16bit以上)なA/D変換を実現できるA/Dコンバータです。基本構成は、積分器・量子化器(コンパレータ)・ディジタルのフィードバック回路から成り立っており、時間的に平均を取りながら精度を高めるという考え方に基づいています。 ◆ナイキスト系ADCとΔΣ ADC いわゆるナイキスト系ADC(SAR型やパイプライン型など) […]

大電流・低電圧環境に対応する電源IC ― DCDCコンバータを進化させるIPCの取り組み③

前回は、DAA技術のIPCにおける活用事例について2つご紹介しました。今回は残る3つ目の環境モニタを使った補正についてご紹介します。 Case3:環境モニタを使った補正 最後は、温度や電源電圧といった外部環境に応じて補正する方式です。温度センサーなどの環境モニタから得られた値をもとに補正演算を行い、アナログ回路に反映させることで、温度や電源条件が変わっても安定した測定や制御が可能になります。 IP […]

大電流・低電圧環境に対応する電源IC ― DCDCコンバータを進化させるIPCの取り組み②

こんにちは。前回はIPCの取り組みの概要と、そこで使われるDAA(Digitally Assisted Analog)技術についてお伝えしました。 (前回の記事) 今回は、DAA技術の適用例と効果についてお伝えします。 DAA(Digitally Assisted Analog)技術の適用例と効果 IPCでは、このDAA技術を活用し、アナログ特性の補正を複数の方法で実現しています。具体的には、以下 […]

インターンシップレポート

インターンシップレポート

学生の皆さん、インターンシップ活動は順調に進んでいますか? ディー・クルーでは毎年夏に 5日間連続のインターンシップ を実施しています。今年も全国から意欲的な学生さんが集まり、無事にプログラムを終えることができました。 今回のブログでは、当社インターンシップの進め方や回路設計体験の様子を写真とともにご紹介します。 スケジュール  こちらは今年の「アナログ回路設計」コースのスケジュールです。 オリエ […]

大電流・低電圧環境に対応する電源IC ― DCDCコンバータを進化させるIPCの取り組み①

なぜ電源IC-DCDCコンバータが注目されるのか 近年、AIサーバやデータセンターなどで使用される高性能機器では、CPUやGPUの高集積化・高性能化に伴い、低電圧・大電流で安定した電源供給が求められるケースが増えています。これらのシステムでは、演算処理の高密度化に伴い、大きな出力負荷変動が頻繁に生じる傾向があります。 このような厳しい動作環境において、安定した電圧供給を維持することは、システム全体 […]

高速IF(高速伝送)設計の基礎と実践 -「GHzは怖くない!」⑤ ft (トランジション周波数)と高速伝送のトレンド

高速IF(高速伝送)設計の基礎と実践 -「GHzは怖くない!」⑤ ft (トランジション周波数)と高速伝送のトレンド

高速伝送の最終回です。前回は 適切なPre-emphasisの設定の仕方について書きました。 前回の記事はこちら 今回は「ft」と、高速伝送のトレンドについてお伝えします。 GHz帯は怖くない ~デバイス能力とft(トランジション周波数)の考え方 高速IF設計において、“GHz帯だから難しい”と感じる方も多いかもしれませんが、実はデバイス能力に着目すると、2~3Gbpsクラスの伝送であれば、十分な […]

高速IF(高速伝送)設計の基礎と実践 -「GHzは怖くない!」④ イコライザ/ Pre-emphasis とは?

高速IF(高速伝送)設計の基礎と実践 -「GHzは怖くない!」④ イコライザ/ Pre-emphasis とは?

高速伝送の4回目です。前回は 所望の周波数特性を実現するためのイコライザとPre-emphasisについて書きました。前回記事はこちら 今回はその続きです。Pre-emphasisの有無による波形の違いについてみてみましょう。 Pre-emphasisの有無によるLVDSバッファ出力波形の違い Pre-emphasis(プリアンファシス)をバッファ出力に適用した場合、実際の波形はどのように変化する […]