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ディジタル信号処理~高校数学で理解する離散フーリエ変換② フーリエ変換とは?


フーリエ変換とは?

フーリエ変換は、信号処理や画像処理、音声解析など多岐にわたる分野で使用される数学的手法で、主に連続フーリエ変換と離散フーリエ変換の二種類があります。連続フーリエ変換は、非周期的なアナログ信号を周波数成分に分解するのに用いられ、離散フーリエ変換(DFT)はデジタル信号の周波数解析に適しています。さらに、計算効率を高めた高速フーリエ変換(FFT)も広く利用されており、リアルタイムでの信号処理に不可欠です。

フーリエ変換ができること

何か波形を思い浮かべてみてください。きれいな正弦波でしょうか?それともぐちゃぐちゃの波形でしょうか?実は思い浮かべた波形がどんなに複雑な波形であっても、あらゆる周波数の正弦波を合成すれば作り出すことができます。「フーリエ変換」はどんな複雑な合成波であっても、それがどんな周波数の正弦波で構成されているか明らかにする処理です。

数学世界のミックスジュース解析

これは、目の前にある謎のミックスジュースから、それぞれの果物の割合を正確に特定するようなものです。あたかも人間が「色」や「匂い」や「味」で果物を識別するように、フーリエ変換では波形を分析して、その成分が何なのかを明らかにします。

音楽の波形をフーリエ変換すると、その音楽がどのような音の高さ(周波数)で構成されているかが分かります。あたかもオーケストラの演奏を聴いて、どの楽器がどの音を出しているかを聞き分けるようなものです。

フーリエ変換は何に使われる?

フーリエ変換は、物理学から工学、音響学、画像処理、電波測定機器に至るまで、多岐にわたる分野で応用されています。スペクトラムアナライザ(スペアナ)はその一例で、高周波信号に含まれる周波数成分の分布、すなわちスペクトラム(Spectrum)を表示・解析する測定器です。高周波信号(電波)はパワーメータや周波数カウンタなどでも測定されます。

電子機器の開発で、信号のノイズを取り除くためにフーリエ変換が使われることもあります。例えば私たちの開発製品でも、特定環境の音を取り去ったり、特定周波数の音だけを聞き取りやすくする為に、信号処理を活用した事例があります。事例について詳しくはこちらをご覧ください。

このようにフーリエ変換は、世の中の無数の波形を理解するための強力なツールです。見えない世界の成分を解き明かし、社会の進歩に貢献しています。料理研究家が味で料理の神髄を解き明かすように、フーリエ変換は波形で世の中を解き明かし、それが新発見へとつながっていくのです。

次の記事では、ディジタル信号処理で使われる、離散フーリエ変換についてさらに掘り下げていきます。次回はその前提条件の数学知識についておさらいします。

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