「量子コンピューティングの世界をもっと身近にしたい」 この思いを胸に、弊社が得意とするFPGA高速演算技術をベースにパソコンで手軽に量子コンピューティング波の計算ができる疑似量子コンピューティング「QalmoⓇ」を開発しています。
組み合わせ最適化問題を手軽に解く
「量子コンピューティングの世界をもっと身近にしたい」 この思いを胸に、弊社が得意とするFPGA高速演算技術をベースにパソコンで手軽に量子コンピューティング波の計算ができる疑似量子コンピューティング「QalmoⓇ」を開発しています。
従来のコンピューティング環境の演算では時間が掛かりすぎて、解くのが難しい問題。こうした問題を解くために量子コンピューティングは生まれました。量子コンピューティングは一言で言うと「特定の条件下で複数の解を同時に探索できるパワフルな方法」です。しかしながら現時点で量子コンピューティングを本格的に実用運用するには手間とコストが膨大にかかるものです。
Qalmo®は、「量子力学を使わずに、特定の条件下で複数の解を同時に手軽に専用PC1つで探索」することができます。
Qalmo®で求解できる問題は「組み合わせ最適化問題」と一般的に言われていてます。ある制約条件化での組み合わせが多すぎて、従来のコンピュータでは計算時間が掛かりすぎ解けない、下記のような問題です。
たとえば、訪問順の問題解決(TSP)を例にとりますと、拠点が20か所に増えるだけで、経路総数がなんと約121京回と天文学的な回数が必要になるのです!
このレベルは汎用PCで解くことは難しいですが、Qalmo®であればエッジ環境で探索可能です。
量子コンピュータでは、量子力学の特性を利用して、最適化問題の複数の解を同時に探索し、最適解へと至る技術ですが、このアプローチでは、量子を扱うため冷却装置など計算機の規模が大きくなり手軽ではありません。
Qalmo®は、独自アルゴリズムをFPGAに実装しており、パソコンで手軽に動作するため、特別な設備を必要とせず、オンプレミスでの使用が可能です。これにより、企業や研究機関は、高価な量子コンピュータを購入することなく、組み合わせ最適化問題を効率的に解くことができます。
下図は従来の最適化問題の探索方法をイメージしたグラフです。エネルギーが最も低い位置のビット状態が目指す最適解ですが、探索を開始後、途中でビットがエネルギーの低い解の1つに落ちると、そこから抜け出して、新たに大域最適解を探しに行けなくなります(局所解:図1)。
この課題を克服するため、Qalmo®は探索エネルギー領域が違う、広域探索モード(FAST)・中域探索モード(RATE)・狭域探索モード(DEEP)の3つの探索モードを自由に切り替えることができます。モードを切り替えて探索を継続することで、局所解を避け、効率よく最適解に達することができるのです。(図2)