量子イジングFPGA

「量子コンピューティングの世界をもっと身近にしたい」 この思いを胸に、弊社が得意とするシステムソリューション技術をベースに開発したの「Qalmo 」をご紹介します。

量子イジングFPGA 「Qalmo®」とは

「Qalmo」(クアルモ) は、ディー・クルー・テクノロジーズが開発した、組み合わせ最適化問題を解く「イジングマシン」とよばれるものの1つです。「Qalmo」は、量子コンピューティングの方式の1つ「量子アニーリング」から着想を得た、独自アルゴリズムの「イジングマシン」をPCI Express対応のボード上のFPGAに搭載したものです。

すなわち「汎用PCで手軽に組み合わせ最適化問題を解ける」ことが特長です。

量子コンピューティングとは

量子コンピューティングとは、膨大な演算処理を従来のコンピュータより高速に行うことを目的に開発された、従来とはまったく異なる仕組みで動くコンピューティングのことです。

量子コンピューティングの有力方式の1つである量子ゲート方式では、量子が持つ「重ね合わせ」という特徴を活用することができます。従来のコンピューティングと同じように、データを「0」と「1」としてデジタル処理するのですが、その際、一つの量子ビットで「0」と「1」を同時に表すことができるのです。これにより、高速な並列処理が可能となり、従来のコンピュータに比べて大幅に上回るスピードを実現することができます。

この方式はしかしながら、今は研究開発途上であり回路規模が大きいため、巨大な極低温冷却が必要になります。量子ゲート方式の量子コンピューティングを今のPCのように常温環境下で手軽に使うようになるには、さらに10年単位の大がかりな研究開発が必要となると考えられています。

ハードウェアアクセラレーター技術で「イジングマシン」構築

量子コンピューティングには量子ゲート以外の方式があり、その一つが「イジングマシン」です。イジングマシンは、従来のコンピューティングでは解くことが難しい、組み合わせ最適化問題に特化した計算が得意です。量子を扱うため装置が大掛かりになる他方式とは異なり、汎用PCでこうした計算ができることが特徴です。 ディー・クルーは、大規模FPGAに演算回路を形成し、PCやサーバーへ組み込んで演算性能を高性能化するハードウェアアクセラレーター技術を持っています。これを駆使すれば、パソコンで手軽に複雑な計算を実行できるイジングマシンが作れることに着目しました。

FPGAのメリット

FPGAのメリットは、その手軽さです。「Qalmo」では、一般的なパソコン上で特定の高速計算を処理するため、PCI Express対応のFPGAを活用しました。

さらにFPGAは内部の回路構成を自由に設定変更できる性質があり、柔軟にプログラムできるICのようなものです。汎用性はCPUに譲るものの、特定用途に特化した柔軟な回路が組めるため省電力・低遅延・高速処理に優れ、また専用で起こしたLSIに比べて経済的である点も大きなメリットです。

最適化問題をエッジで解く。その未来を拓く「Qalmo®」

FPGAのメリットに着目したディー・クルーは、PCI Express対応ボード対応のFPGA上に、汎用PCでも量子コンピューティングのような組み合わせ最適化の計算が可能になる、独自アルゴリズムを乗せることに成功しました。

この「Qalmo」のアプローチは、クラウドを活用した大規模な演算処理を基調とするコンピューティング開発のアプローチとは異なります。 しかし私たちは、今後のFPGAの処理性能向上に伴って、このような汎用PCによる「エッジコンピューティング」で組み合わせ最適化問題を解くソリューションは、今後世の中に必要である、と信じ研究開発を続けています。


「Qalmo® レンタルサービスについて」

ディー・クルーのシステムソリューション技術を駆使した「Qalmo」は、初号機が2022年3月に完成。その後も研究開発を続け、現在、演算性能を倍増した2048spin版をレンタルサービス中です。

手軽に「Qalmo」お試しいただけますよう、リーズナブルなレンタルプランをご用意しています。是非この機会にこちらからお申し込みください。

組み合わせ最適化問題を短時間で求解できる、手軽なソリューションをお求めの研究者様にぜひご体感ください。

フレキシブルなカスタム高速演算ソリューションをご提供するディー・クルー

ディー・クルーが技術で解決するのは、組み合わせ最適化問題の手軽さだけではありません。 大規模演算システム開発力を活かし、PCで手軽に複雑な四則演算を高速化するハードウェアアクセラレータを提供可能です。

カスタムプロセッサ開発も可能なディー・クルー

将来、こうした高速演算機能をさらに低消費電力で実現したり、より小型化を目指す場合、ASICなどのセミカスタム・カスタムプロセッサとして実現が可能です。