「量子コンピューティングの世界をもっと身近にしたい」 この思いを胸に、弊社が得意とするFPGA高速演算技術をベースにパソコンで手軽に量子コンピューティングレベルの計算ができる疑似量子コンピューティング「QalmoⓇ」を開発しています。
組み合わせ最適化問題を手軽に解く
「量子コンピューティングの世界をもっと身近にしたい」 この思いを胸に、弊社が得意とするFPGA高速演算技術をベースにパソコンで手軽に量子コンピューティングレベルの計算ができる疑似量子コンピューティング「QalmoⓇ」を開発しています。
従来のコンピューティング環境の演算では時間が掛かりすぎて、解くのが難しい問題。こうした問題を解くために量子コンピューティングは生まれました。量子コンピューティングは一言で言うと「特定の条件下で複数の解を同時に探索できるパワフルな方法」です。しかしながら現時点で量子コンピューティングを本格的に実用運用するには手間とコストが膨大にかかるものです。
Qalmo®は、「量子力学を用いず、手軽に専用PC1つで最適解を探索」することができるシステムです。
Qalmo®で求解できる問題は「組み合わせ最適化問題」です。これは、ある制約条件化での組み合わせが多すぎて、従来のコンピュータでは計算時間が掛かりすぎ解けない、下記のような問題です。
実際にデモアプリでQalmoが例題を解いている動画をご覧ください。
渋滞の解消に関連する最適化問題の一つが、VRP(Vehicle Routing Problem)です。この問題は、複数の顧客に商品を配達する際に、運転手が最も効率的なルートを決定することを目的としています。現実の例として、食品デリバリーサービスが挙げられます。効率的なルートを計画することで、配達時間を短縮し、コストを削減することが可能となります。
配送トラックの荷物の積載順を探します。大きさや重さ、積み下ろしの順番が異なる荷物を最も効率よく積載する方法を探します。配送業者では配送台数の削減など生産性向上が期待できます。
距離の異なる事務所をどういう順番で訪れればもっとも時間効率よく帰社できるのか、その訪問順を探します。最適化問題の一種であり、ある都市の集合を訪れた後、出発点に戻る最短経路を求めることを目的としています。ビジネスでは移動コスト削減と移動効率UPによる生産性の向上を、配送業者では燃費や時間節約することが可能です。
この問題は、病院などで、必要な看護スタッフのシフトをどのように組むかを決定するものです。例えば、病院では、医師や看護師の必要な数を確保しつつ、各スタッフの勤務希望や労働時間制限にも配慮する必要があります。これにより、効率的な人員配置が実現し、医療サービスの質が向上します。
「株価が上がっている銘柄は今後もしばらく上がりやすく、下がっている銘柄は今後もしばらく下がりやすい」という現象(=モメンタム)を利用して、トレードする手法です。モメンタムを組み合わせ最適化問題に組み込んで、値動きに勢い(モメンタム)がある銘柄を予測し、それらの銘柄の組み合わせを選びます。
たとえば、訪問順の問題解決(TSP)を例にとりますと、拠点が20か所に増えるだけで、経路総数がなんと約121京回と天文学的な回数が必要になるのです!
このレベルは汎用PCで解くことは難しいですが、Qalmo®であればエッジ環境で探索可能です。
量子コンピュータでは、量子力学の特性を利用して、最適化問題の複数の解を同時に探索し、最適解へと至る技術ですが、このアプローチでは、量子を扱うため冷却装置など計算機の規模が大きくなり手軽ではありません。
Qalmo®は、独自アルゴリズムをFPGAに実装しており、パソコンで手軽に動作するため、特別な設備を必要とせず、オンプレミスでの使用が可能です。これにより、企業や研究機関は、高価な量子コンピュータを購入することなく、組み合わせ最適化問題を効率的に解くことができます。
図1は従来の最適化問題の探索方法をイメージしたグラフです。エネルギーが最も低い位置のビット状態が目指す最適解ですが、探索を開始後、途中でビットがエネルギーの低い解の1つに落ちると、そこから抜け出して、新たに大域最適解を探しに行けなくなります(局所解)。
この課題を克服するため、Qalmo®は探索エネルギー領域が違う、広域探索モード(FAST)・中域探索モード(RATE)・狭域探索モード(DEEP)の3つの探索モードを自由に切り替えることができます。モードを切り替えて探索を継続することで、局所解を避け、効率よく最適解に達することができるのです。