アナログ・デジタル・FPGAまで幅広く対応するカスタムLSI設計・開発ガイド
LSI(Large Scale Integration)設計とは、数万から数百万のトランジスタを1枚の半導体チップ上に集積し、求められる機能・性能を最適化して実現する技術です。小型化・高機能化・低消費電力化といった電子機器の進化を支える根幹技術であり、B2Bの産業分野では「長期安定供給」「差別化」「独自要件対応」を可能にします。
汎用LSIは標準的な機能を持つICで多くの製品に利用されますが、カスタムLSIは御社固有の仕様や性能要件を満たすために、0から最適設計するソリューションです。また、FPGAは短納期・高柔軟性を活かしたプロトタイピングや、小ロット生産に適しており、量産LSIへのステップアップにも最適です。
当社のLSI設計における強み
- アナログ/デジタル/ミックスドシグナルSoC/FPGAまでワンストップで設計対応
- 熟練エンジニアによる卓越した小型化・省電力化設計
- 産業・医療・通信機器など多分野でのカスタムLSI・FPGA設計実績
- EOLリプレイス、既存基板互換なども柔軟対応
LSI設計の主要領域とソリューション
アナログ回路設計
センサ信号処理や電源制御、アナログフロントエンドなど、ノイズ耐性・高精度・低消費電力が求められる回路設計を得意としています。ADC/DAC・各種センサIF・電源管理ICなど、豊富なアナログLSI設計実績を有します。
デジタル回路設計
高速処理・省電力化・制御ロジック等のデジタル回路は、多くのエレクトロニクス製品の頭脳です。当社はRTL設計から論理合成、タイミング最適化まで一貫してサポート。信頼性の高い設計手法で産業用途にも対応します。
ミックスドシグナルSoC設計
アナログ/デジタル両技術を融合したミックスドシグナルSoCは、多機能化・小型化を実現し、IoTや車載・医療向けで多数の実績があります。両技術を熟知したエンジニアが最適なシステム提案・実装を行います。
FPGA設計・プロトタイピング
FPGAによる高速プロトタイピングや機能検証、カスタム演算の実装が可能です。小ロット生産や短納期対応、将来の量産ASIC化も見据えた開発体制をご提供しています。
LSI設計プロセスと技術
要件定義・仕様策定
まずはお客様とのヒアリングからご要望や仕様、運用環境を細かく整理。コスト・性能・量産性を踏まえて、最適なLSIアーキテクチャをご提案します。
設計フローの全体像
仕様策定→回路設計(アナログ・デジタル)→論理合成/レイアウト設計→シミュレーション/検証→試作→実機評価→量産移行という一連の流れで設計を進めます。各段階で品質チェックを徹底し、問題の早期発見・修正に努めています。
技術的な特徴・評価体制
- 最新EDAツールによる設計自動化・精密シミュレーション
- ロジック検証・タイミング検証・ノイズシミュレーション・信頼性評価(バーンイン試験等)を実施
- 国内外のファウンドリ・パートナーと連携した量産対応も万全
LSI設計による課題解決例
●事例1 「ワイヤレス超音波プローブ用 LSI」
課題
健康診断などで使われ“エコー”と呼ばれる超音波診断装置は、手で持つプローブと診断装置本体は太いケーブルで接続されています。このケーブルが邪魔なので無線化したいと言うニーズがあり、開発したLSIになります。
無線化を実現するためにはバッテリーで動作する必要があり、低消費電力化はもちろん、プローブを手で持ちやすい大きさにするための小型化がLSI開発の課題となります。
解決策
保有しているアナログ設計技術とデジタル設計技術との融合により、従来技術では不可能と言われていた低消費電力化を実現しました。また、デジタル回路とアナログ回路の間のクロストークを抑える細心のレイアウト設計とカスタムWCSP(Wafer level Chip Scale Package)の開発を行い、目標サイズを実現しています。
本LSIは医療用途だけではなく、非破壊検査など超音波技術を活用する装置に広くお使いいただけます。
●事例2 「AR向け透過型液晶(LCOS)制御ASIC」
課題
お客様は新規開発の透過型液晶(LCOS)を搭載したARグラスの開発を計画していました。
そのARグラスを実現するためには、必要な画像処理機能を搭載したLCOSを駆動するLSIが必須であり、開発依頼を頂きました。単に必要な機能を搭載するだけではなく、ARグラスに搭載可能な形状で実現することが課題でした。
解決策
目標のサイズや形状を実現するためには、デジタル回路の高度な配置配線(レイアウト設計)技術が必要になります。この技術を基に必要な画像処理機能(ガンマ補正、クロッピング、上下左右反転、拡大縮小など)を全て搭載し、目標サイズと寸法を実現しました。