プリンター用画像処理
コンパクトフォトプリンターと機器間の通信および印刷用に使われていた、複合マイコンシステムをXtensaを用いて統合IC化した大手プリンタメーカーA社の事例をご紹介します。
解決したい課題
先方よりご相談を受けヒアリングさせていただいたところ、
現行システムは複数CPUチップ構成。プリンターに接続する機器はカメラ、携帯電話、PCなど多様で接続方法も多岐。この条件下で印刷速度向上とコストダウンが課題でした。また同一システムを派生モデル5種類へ同時期に実装可能なアーキテクチャも求められました。
- プロセッサ(V850)の置き換え
- プロセッサおよびモーター制御ICの統合
- 多品種(5機種)に実装可能なアーキテクチャ
- 生産数量増加によるコストダウン
- 同時開発による開発期間短縮
適用した弊社の主な技術
弊社内にはLSI開発に精通した技術者とファームウェアに詳しい人材、USBや無線通信に詳しい人材、さらに組込みOSができる人材がおり、複合的にソリューション提案を行うことができます。ご相談を受けてからご納品まで、それぞれの技術知見を持ち寄って社内で議論して複合的に検討する手法「あわせミソ」を実施。
最終的に弊社が提供した主な開発技術は以下になりました。
LSI(プロセッサ)開発技術
- アーキテクト(アーキテクチャ設計)
- フロントエンド(論理設計、回路設計)
- バックエンド(レイアウト:委託先マネジメント)
- テスト(検証:委託先マネジメント)
ファームウェア開発技術
- システムアーキテクト(アーキテクチャ設計)
- メカ制御
- ドライバ(プロトコル設計・検証)
- オペレーションシステム(リアルタイムOS設計・検証)
- ミドルウェア(画像処理アルゴリズム設計・検証)
- アプリケーション(UI/UX設計・検証)
他 バッテリ制御プログラム開発、通信規格認証用プログラム開発等
結果
課題の印刷時間は2/3に軽減。かつ部品点数の削減によるコストダウンに成功しました。
開発プロセス
本開発は、以下のステップで実行しました。
STEP1:実現可能性調査
既存システムは、マイコンICを並列で使っておられました。弊社では同様のケースでIC統合によるパフォーマンス向上させた実績があったため、まず現行製品のCPUをFPGAに置き換えて、改善ポイントを抽出しました。さらに拡張性の高いXtensaを用いて既存プロセッサからカスタムプロセッサへの置き換えにより期待性能を見込む提案をいたしました。
STEP2:原理試作
次に実際に基板を製造して、動作検証を行います。
ドライバ(プロトコル設計・検証)ミドルウェア(画像処理アルゴリズム設計・検証)メカ制御(プリンタのステッピングモーター制御)などを組み込むとともに、既存リアルタイムOSへのスケジューラやメモリ管理等の機能追加といった要求仕様をみたすためのOS改良まで行いました。
STEP3:設計試作
高速化のため、ASICに実装されていたPLLやセンサー回路用のADCといったアナログマクロ部を組み込んでLSI化します。